ブッダ様の側がピーンチな場合を考えてみた 
迷える小羊はパンがお好き?の劇中劇に出したアレみたく、
ブッダ様の側が攫われてピーンチって展開で、
イエス様に頑張ってもらうということになれば、
少なくとも、初案のような
悟れアナンダ、もとえ、起きなさいイエスみたく、
ちょっと情けないオチにはならないんじゃなかろうか。
というワケで。
早朝のご町内をジョギング途中だったブッダ様、
どこの誰と間違えられたものなやら、
突然、何物からに取り囲まれ、
すぐ傍らへキュキュキュッと急停止したリムジンへ押し込まれ、
不意を突かれてのこと、麻酔を嗅がされ誘拐されました。
《 イ、イエス…。》
意識が途切れるすんでで、飛ばしたらしき伝心で、
ブッダ様に何か突発的なことが起きたらしいというの、
こちらは松田ハイツの、まだ布団の中にて素早く察したイエス様。
がばりと起き上がって周囲を見回せば、
確かにブッダ様の気配はない。
さっき聞こえたのは、
どこか遠くから届けられた、彼からの最後の一声?
「ああでも、ブッダにはGPS持たせてないんだった。」
スマホにそういうアプリがあるって聞いたけど、
前以て設定してなきゃ無理だよねと、
起きぬけの髪を掻きむしりつつ焦っておれば、
「お呼びですか、イエス様。」
「先生、何かありましたか?」
「ペトロ、アンデレ、丁度いいところへっ!」
さあ、イエス様、頼もしい仲間と共に怪しい一団を追うのです。
(……あ、なんかもう既に“桃太郎”っぽいぞ。)笑
「…でも何かその前に、
梵天さんが何処からともなく現れそうな気がするんだけど。」
「言えてますッスよね。」
「あの人、ブッダ様本人へはああいう当たり方だけど、
そんなブッダ様に誰かが何かしようものなら…ってのがまた、
簡単に想像つく“お父さん”だし。」
彼らにも容易に想像つくくらいなので、
天界関係者によるちょっかいかけという段取りは
ブッダ様には組めなかったんですが。(誰がそんな自殺行為を…)
「ただね、
そうなるとブッダもブッダで
素直に助けられないんじゃないかなぁとか。」
「あ・そうか。」
「貸しを作りたくない相手ってのは、
誰にでもいますものねぇ。」
いいから とっとと追わんかっ
◇◇◇
……というか、
ブッダ様の場合だと
余裕で自力脱出して来てしまいそうな気もしますよね。
“この人たち、私を一体誰と間違えたのでしょうか?
会話からして、アジア系の外国の人みたいですよね。
それが気になるので、ちょっとついてってみようかな。
でもでも、もっと気になるのは、
イエスの朝ご飯が
途中までしか出来上がってないってコトなんだよね。
お味噌汁なくても、ちゃんと食べててくれたらいいんだけど。
冷蔵庫にインゲンのごま和えがあるの、気がつくかなぁ。
朝からカップめんってのは無しですよ?
う〜ん、またもや声だけを届けたりしたら、
却って不安がったりしないかなぁ。
何処にいるのか、伝えられたらいんだけど、
窓が高くて、起き上がらないと外が…見えないなぁ。”
とか何とか、
移動中のリムジンの中で、
割と余裕で落ち着いてるうちはまだいいんですが。
《 わ〜んっ、ブッダーっ! どこにいるのーっ!》
「…っ!」
どんな遠くにいようとも、
キミの悲鳴を聞き逃す私ではありませんともと。
がばりと勢いよく身を起こしの、
手首の拘束なぞ、手錠だろうが 強力なガムテだろうが、
めきょっと一ひねりで排除完了。
「なっ、」
「なんだ、こいつっ。」
慌てた賊らの手へナイフや銃が出て来ても、
後光の輝きで目測狂わせ、
はっしと真剣白刃取りをご披露し、
《 あなたは何を恐れているのです。》
心への問いかけで逆に身動き凍結させての、
車を停めさせ、全員をあっさりと平伏させて。
《 さあ、元の場所へ戻りなさい。》
語りかけだけで“無かったこと”にさえしてしまいかねません。
松田ハイツまでを送らせてから、
そのまま警察へ出頭しなさいと重く念じておいてのさて。
「イエス、どうしましたか。
怖い想いさせてごめんなさいね。
お腹も空いたでしょう、可哀想に。」
無事なまま飛び込んだ自宅には、
涙目の愛しい人がへちょりと座り込んで待っており、
「ブッダこそ誘拐されたんでしょ? 怖かった?」
案じてくれるのですか、なんて優しい人でしょう。////////
だって…あ、手首が真っ赤だよ? 痛い?
「…あの、イエス様。/////」
「俺ら帰りますッスね。」
初めての、しかも前置きなしのお留守番をしていた幼子と、
それをぎゅうと懐ろ深く抱きしめる
慈愛の塊のようなお母様としか見えないけれど。
それでもああまで目映いオーラには、誰も太刀打ち出来ないから。
やっぱり何事も起きなんだことになって終しまい、なんじゃあなかろうかと。
〜Fine〜 13.09.12.
*象を投げられる人を誘拐というところに、
根本的な何か物差し上の無理があるというか。(苦笑)
めーるふぉーむvv

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